SETP 6 リスクを減らす

「留意すべき雪崩」に対する最適な安全戦略

雪崩には個性があり、今、対峙している雪崩がどのような特徴を持つものであるかを理解する必要があります。ストームスラブであれば、適切な場所でのスキーカットなどで判断のための材料を得ることができるかも知れません。ウインドスラブであれば、風が吹いた痕跡を探すことで、それが形成している斜面を避けることです。

雪崩情報で持続型スラブが表示されている場合、それがアラートされている標高帯や斜面方位では、普段よりも安全のマージンを大きく取った行動が必要です。地形を使って、賢く移動してください。このタイプの雪崩を弱層テストで危険度の判断しようとすることは不適切です。

斜度を落とすことがどの雪崩でも有効

どのような種類の雪崩が現在、山にあるにせよ、斜度を落とすことは、雪崩に流されないために最も有効な手段です。滑走者は「ここはスキー場ではない」ことを、今一度、思い出してください。日々、スキーパトロールによって安全管理されている斜面ではありません。同じ35°の傾斜を持つ斜面の危険性は、両者でまったく異なります。

雪崩の危険に曝される時間と人数をマネジメント

リスクを軽減するには、雪崩地形に入る時間と人数をマネジメントすることが基本です。雪崩地形内では、程度の差はあるにせよ、常に雪崩の危険に曝されていることになります。よって、そこでの滞在時間を短くすることや入る人数を少なくすることが、事故発生の可能性を下げると同時に事故の被害を小さくします。

滑る斜面には一人ずつ入る

滑走が楽しい斜面は、雪崩の発生にも適した斜面です。積雪状態の判断には、常に不確実性がありますので、「もし、雪崩が発生したら」と考えて行動することです。滑走者を他のメンバーが見守ること、滑り出しと停止位置は雪崩地形から外れた場所にすることを忘れないように。

雪崩地形内で休憩やテント泊をしない

今いる場所が平坦地であっても、その上部に発生区があれば、雪崩地形内になりえます。それゆえ雪崩の発生確率が低くても、長時間そこに滞留すれば、結果的に雪崩に遭うリスクを押し上げてしまいます。地形図と周囲への注意深い観察によって、雪崩地形内にいないか確認してください。

適切な間隔を開けた速やかな移動

危険に曝される場所を通過する際、適切な間隔を開けつつ素早く移動することは、雪崩リスクを軽減します。「適切な間隔」とは、現在、発生しうる雪崩と地形規模の程度で決まります。たとえば「どのような時も常に10m開けよう」といった固定的な考え方は、状況認知を誤らせる不適切なアプローチです。

仲間と声や目視でのコンタクトを保つ

仲間との間隔を開けるリスク軽減の手法も、メンバー間の距離が開きすぎると別の問題も生じます。仲間と声や目視でコンタクトが取れる状態にしておくことは大切です。また、免許が必要ない簡易無線の活用は、仲間との距離が開きやすい滑走者には特に有効な手段です。

より安全な地形を探し、利用する

登山道を歩く夏山と異なり、雪山では自由な登行ルートや滑走ラインの設定が可能です。地形を見抜く着眼点を使い、斜面をよく観察することで、その時のコンディションに合った地形やルート、ラインを選んでください。樹林など判断の助けとなるものが少ないアルパインエリアは、風などの影響も強く、地形の判断により経験が必要となる領域です。

他グループとの関係

混雑している人気山域では、他グループがどのような行動を取ろうとしているのかも、あなたのグループの安全に関わります。また同時、あなたの不用意な行動が他者を危険に曝す可能性もあります。

自分の上方あるいは下方にいるグループの存在

ある雪崩地形内に複数のグループが同時に入ることは極めてリスクが高い行動といえます。もし、コンタクトが可能ならコミュニケーションを図り、不要なリスクに曝されることを回避してください。そして、滑り出しや停止位置を必ず雪崩地形から外すなど、基本的な行動様式を心掛けてください。

下がクリアでない時、意図的な雪崩を起こさない

雪崩地形内に別グループがいる、あるいはその可能性がとても高い時に、スキーカットなどで意図的な雪崩を起こさないようにしてください。スキーカットに入る際は、必ず、どの程度の規模の雪崩が発生しうるかを想定しつつ実施していると思いますが、予想以上の雪崩が起きることは雪崩プロの現場でもままあります。