データの見方

記入されるデータは『気象・積雪・雪崩の観察と記録のガイドライン』に準じて行われています。ガイドラインの抜粋は「こちら」にありますので、ご参照ください。また、積雪安定性評価は、適切な教育を受けることや知識と経験を必要とします。「情報とリスクマネジメント」および「雪崩の基礎」に、基本概念がまとめられておりますので、ご参照頂ければ幸いです。
 
 
●●項目について●●
【投稿者】……掲示板に書き込んだ方です。データ提供者リストを参照ください。
【日付】………行動した日です。2007年12月25日は「071225」です。
【投稿時刻】…掲示板に書き込んだ時刻です。
 
【山岳】………山域です。
【場所】………山域内での主たる範囲です。
【標高】………当日、移動した標高帯です。
【気温】………当日、行動中に計測した温度です。
【天気】………当日、卓越した雲量を示します。
【風】…………当日、卓越した風の強度と風向です。
【降水】………当日、卓越した降水の種類と強度です。
 
【雪崩などの観測】…積雪安定性についての直接証拠。クラス1データです。
【積雪構造】…………行動した範囲内での観察等で認知できた積雪構造の特徴です。
【安定性評価】………行動した範囲において、当事者が下した評価です。
【留意点】……………行動のマネジメント上、有益と思われるコメントです。
 
 
●●利用の仕方●●
データは、必ず、すべて項目を総合的に見るようにしてください。移動標高帯と、その日に卓越した気象を理解することは、積雪構造等の理解に役立ちます。また、この際、データの翻訳・解釈が比較的容易なクラス1データである【雪崩などの観測】に比べ、【積雪構造】は書き込む側も、またデータを読む側も、バックボーンとなる知識や経験を必要とします。以下に、いくつかの例を使い、【積雪構造】の記載内容についての説明をします。
 
【積雪構造・例1】
焼結の進んでいない65cmの低密度の雪が以前の吹雪による積雪(100cm)上に載っているが、スキーカットには反応なし。沈降し、結合している模様。表層10cmには大きな温度勾配(4度)がある。SPIN参照。雪庇が発達しており、多くの谷の尾根上に風の影響が見られる。
(説明)
ここ最近、かなりの降雪があったことが分かります。また、以前のまとまった降雪の際には、かなりの風も吹いたようです。ですから、今回スキーカットを試みた場所では反応がでていませんが、風の影響を受けた場所では、異なった結果になるかも知れません。また、表層には大きな温度勾配がありますので、ここの雪が結合力の弱いこしもざらめ雪に変化していく可能性がありますので、後日、山に入った際に確認したいポイントになります。
 
 
【積雪構造・例2】
昨夜の強い南西風が風上斜面を削剥し、風下側に20cmのソフトスラブを形成。このスラブはクラスト上に載り、森林限界付近でのテストでCTM(12)@20cm SPの結果を得た。ウイーク・インターフェイス。
(説明)
破断の特徴として、SP、SCの結果は、注意すべきサインとなります。典型的な弱層を作る雪粒が存在しなくとも、層同士の性格が異なる場合、その境界から雪崩は発生します。それをウイーク・インターフェイスと呼びます。スキーパトロールが日々管理している雪崩は、このようなものが大部分を占めます。
  この日は、形成して間もないスラブが、まだ下層の雪と結合していないようですから、アンカーとなるべき樹木等がなく、大きく開けた斜度のある斜面はハイリスクな領域となります。翌日、行動する際は、地形をよく観察し、このスラブが形成されているのか把握するようにします。たとえ大きな斜面ではなくとも、地形の罠と組み合わされば、厚さ20cmのスラブは十分に危険なものになりえます。
 
 
【積雪構造・例3】
午前、広範囲において3mmの表面霜が確認された。25cmと40cmにある、こしまり雪の層でそれぞれCTM・RPで剪断。前回の降雪による40 - 70cmの雪は沈降し、融解凍結クラスト上のあるこしもざらめ雪の上で、結合力のあるスラブを形成しつつある。テストではCTH(22)@70cm SC×2, SW, 1750mの結果。
(説明)
後日、同じ山域に入る場合、留意すべきことは、この日に観察された表面霜が後日の降雪に埋もれ、積雪内に残っている可能性についてです。風と日射の影響の少ない場所を考えてみてください。積雪上層にある、こしまり雪の層による剪断は、吹雪の不安定性によるものですので、時間経過と共に結合力を高めているかも知れません。
   一方、下層に位置する融解凍結クラストの上に載る、こしもざらめ雪はCTHながらSCという注意すべきサインの結果が出ています。もし、温度勾配が残っていれば、結晶は成長を続け、不安定性は改善していないかも知れません。行動の際は、融解凍結クラストの存在の可能性、および積雪深の変化に注意を払う必要があります。この融解凍結クラストが浅い位置に存在するところが、誘発点になるかも知れません。